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乳幼児精神保健の魅力とは・・・

2024

05.01[水]

メンバー限定

乳幼児精神保健の魅力とは・・・

乳幼児精神保健オンラインII期がいよいよ5月10日に始まります。2年目となるこの講座ですが、赤ちゃんとして生まれた時からどんなふうに「こころ」がつくられていくのかを知る上で、子どもに携わる方だけでなく、大人の臨床に携わる方にもぜひ関心を持っていただきたいと思います。 I期の講座を「過去アーカイブ」として現在解放中ですので(5月13日まで視聴できます)、無料でご覧になれる第一回はぜひご覧ください。 乳幼児精神保健の魅力を知っていただくために、当室スタッフが過去アーカイブの各回の感想を記しました。ご参考になさってください。 第2回 早期の親子関係の絆ー愛着についてー 講師 川畑友二先生(クリニック川畑)   これまでにも愛着についていろいろな所で聞いたり学んだりしてきましたが、この講義は愛着というテーマを通して、私たちが出会う親子にどんな背景があってどんな経験をしてきているのかを考える姿勢を大切にしたいと思える内容でした。 私たち支援者に求められるのは、よく聞く4つの愛着の型のどれかに親子関係を当てはめようとしたり安定型になるように目指したりすることよりも、その子に関わっていく中で生き方が少しでも変わっていくのかもしれないという視点を持つことや、これまでにその子が安心して過ごせていたと思える経験について理解していこうとする姿勢だというお話に、ハッとさせられました。 先生の親子を見る視線や話の内容がとても素敵で、講義を終えた時に知識を頭に詰め込んだという感覚よりも、私自身の気持ちが揺さぶられて温かい気持ちになりました。 第3回 前言語コミュニケーションー間主観性・コミュニケーション的音楽性 トレヴァーセンに学ぶー 講師 香取奈穂先生(慶應病院小児科 精神保健班) 第3回では『前言語的コミュニケーション』のテーマで、お母さんと赤ちゃんのコミュニケーションの発達について、 トレヴァーセンのCommuniⅽative Musicality の視点から解説していただきました。 私たちは普段Thとして、出会った親子のコミュニケーションの在り方を観察していますが、ビデオや音声ファイルの解析では親子で相互作用している(またはしていない)様子が声の高さやリズムにも示されていることがとても興味深く感じました。無意識にお互いの発する声に対してピッチを合わせたり声のリズムを作り上げていったりするお母さんと赤ちゃんのコミュニーケーションの様子を見せていただき、人が生きていく上で大切な土台となる乳幼児期の体験がどの人にとっても温かく満ち足りていたらいいのにと思わずにいられませんでした。 自身の喪失体験や未解決の葛藤から赤ちゃんとうまく音楽を作り上げられなかったお母さんの症例では、治療者が抱えることでお母さんも問題を引き受け赤ちゃんとポジティブに向き合えるようになることがとてもわかりやすく伝わってきました。香取先生の患者さんと向き合い問題を受け止める姿勢や、長い年月をかけて見守るなかで変化を心から喜ぶ姿からは患者さんを大切に思う気持ちや温かさが伝わり、仕事をするときにもっておきたい姿勢の一つとしてあらためて学び、感じることができました。 第4回 乳幼児の発達の診たて-自己感(D. スターン)の視点から 講師 黒崎充勇先生(広島市立入船市民病院 小児心療科) まず、黒崎先生の語り口がとっても楽しそうで、黒崎先生ご自身が「母子の臨床の世界にはまり続けている」とおっしゃっていた気持ちがすごく伝わってきました。 私自身は、大人のカウンセリングを行っていて、乳児や母子との関りはほとんどなく、これまでスターンについては不勉強で、発達心理学の授業で習った程度の理解しかなかったのですが、黒崎先生の話から、母子臨床の世界が、実は、大人のセラピーの世界の基礎であり、「セラピーと育児の関係は、早期の母子関係であり、授乳関係である」ということを改めて理解できて、自分のセラピーにも生きているものなのだと実感でき本当に勉強になりました。 何よりも、とにかく、黒崎先生の優しい語り口がとっても素敵でした。 第5回 発達初期のコミュニケーション 講師 鴇田夏子先生(慶應義塾大学医学部小児科学教室 精神保健班) 第5回のテーマは『発達初期のコミュニケーション』。赤ちゃんとお母さんの相互作用の在り方を写真で詳しく解説していただけました。赤ちゃんと親はこんなに豊かなやり取りをして、愛着を形成していくんですね。講義のおかげで、仕事する中で親子に出会った時にも、この親子はどんな相互作用をしてきたんだろう?それが今にどんな影響を与えているんだろう?とイメージしやすくなりました。 鴇田先生がご紹介くださった乳幼児-親心理療法の事例からは、過去のトラウマと現在の人間関係を区別し、傷つきを誰かに抱えてもらって回復していけるように支援していく方法の1つを知ることができました。乳児期だけでなく、学童期や青年期の親子に対しても応用できる方法だったと思います。Ⅱ期では、この乳幼児-親心理療法についての回があり、今から楽しみです!